生物環境科学科の卒論研究で秋田市の湧水中における有機フッ素化合物(PFAS)の実態に関する調査研究の成果を発表しました

 令和8年2月17日~18日に開催された生物環境科学科の卒論研究発表会で、「秋田市の湧水中における有機フッ素化合物(PFAS)の実態に関する調査研究」の成果を発表しました。

概要

 PFAS(有機フッ素化合物)は、炭素(C)とフッ素(F)原子を中心にできている物質で、「ペルフルオロアルキル化合物」と「ポリフルオロアルキル化合物」をまとめた呼び名です。とても強いC–F結合をもつため、水や油をはじく性質、熱や薬品に強い性質があり、これまで消火剤・界面活性剤・撥水剤などさまざまな用途で利用されてきました。近年、一部のPFASについては ごく低い濃度でも人体への影響が出る可能性が指摘されており、国内の河川や地下水などの公共用水域で検出例が報告されています。そのため、安全性を確認するための目安として 50 ng/L (ナノグラム/リットル)という指針値※1が示されています(図1)。


 秋田県では、令和7年度に秋田市の茨島地区周辺の地下水からPFASが検出されたことを受け、地下水中でどのくらいPFASが存在しているのかを確かめることが重要な課題となっています。PFASは、すぐに環境基準が設けられる段階ではありませんが、今後の理解を深めるために調査が続けられている「要監視項目」※2です。県内でも一部の地下水や河川などで調査が行われていますが、詳しい状況はまだ十分に分かっていません。そこで今回、生物環境科学科4年生の卒業研究で、まだ調査が行われていない秋田市の寺内地区と新屋地区の代表的な地下水(湧水)に含まれるPFASの濃度実態を調べました(図2)。



 分析には、本学で所有し、学生実験や研究で活用している高精度の質量分析装置(TOFMS)を使用しました(図3)。その結果、両地区の湧水に含まれるPFASの濃度は、指針値の50 ng/Lを大きく下回るものであることが分かりました。つまり、今回調査した範囲では、安全性が懸念されるレベルではないことが確認されました。

※1  ng(ナノグラム)は、1グラムの10億分の1という、ほとんど目に見えないほど小さな重さです。ミリグラム(mg)とくらべると、100万分の1になります。
※2 要監視項目とは、「人の健康の保護に関連する物質ではあるが、河川や湖沼などの公共用水域等における検出状況等からみて、直ちに環境基準とはせず、引き続き知見の集積に努めるべきもの」とされ、指針値が設定されています。